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「エイジングのお話」

テンベアのバッグの定番、バゲットトート。ショルダーが片側に寄っているので、物の出し入れがしやすいことともう一つ、使い込む内に風合いが増してくるという特徴があります。今回は、そんなバッグのエイジングのお話です。テンベアの定番バッグに使っている生地はパラフィン加工された6号キャンバス。最初はかなり硬めのしっかりとした素材です。それが使っていく内に段々と柔らかくなり、体に馴染んでいきます。バッグをゆっくり育てているような、ある種、革靴を自分の物へと馴染ませていくあの感覚とも似ています。とはいえ、6号キャンバスバッグは基本、汚れたら洗濯が可能です。バッグとの付き合い方、お手入れについてこちらの方法を参考にしてみてください。
・ 洗濯は蛍光増白剤の入っていない中性洗剤が最適。
・ 浸け置きはせずにさっと手洗い。
・ 洗濯ネットに入れてさっと脱水も可。
・ 形を整えて陰干し。
 定番のバゲットトートと同じ素材のメッセンジャーバッグやハーベストトート、ブックトートも基本同じです。何度洗濯したとしても、型崩れしにくく自立するほど丈夫です。長い使用による汚れや破れも愛着に感じられるはず。実店舗ではスタッフ私物の使い込んだバッグを用意しているので、気になる方は直接確かめることも出来ます。
 そんな6号キャンバス以外に、エイジングの良さが活かされているのが「タンニン」の染めシリーズ。ヌメ革を鞣す際に使用するタンニン液で染めたバッグです。ヌメ革は太鼓と呼ばれる大きな樽の中にタンニン液と原皮を入れ鞣していきます。その中に帆布を入れたらどうなるだろうという発想から誕生したものです。染め上がりは薄いベージュのような色ですが、時間が経つと飴色に変化していくのが最も興味深いところ。例えば、毎日のように2年ほど使用するといつの間にか飴色になっていた、という話もありました。なぜ色が変化するのか? タンニン液の原料は、南米の木の皮を使用しています。木の皮の中には、ポリフェノール(渋)が入っていて(日本でいうと柿渋をイメージすると分かりやすい)タンニンの中のポリフェノールが作用して、皮を腐らなくしています。時間が経つと飴色に変化していくのは、タンニン液の中のポリフェノール(渋)が、紫外線や外気、人の肌と触れていく中で化学反応を起こすから。木が紫外線を浴びて渋い色へと変化したり、庭に干している渋柿が飴色に変わっていくのと同じことだそうです。まるでバッグも生きているかのような面白さを持ち合わせたアイテムだと言えます。6号キャンバスもタンニンのシリーズも、エイジングによってそれぞれの魅力を感じてもらえたら、より愛着を持ってもらえるのかもしれません。 

エイジングによるバッグの一例をご紹介します。画像の左側が使用したアイテムになります。生地の風合い、色落ち具合など、新品との違いが表れています。一部、バッグの仕様、デザインなど異なる場合があります。
バゲットトート・インディゴ。2年程使用。洗いなし。持ち手や角など擦れる部分が色落ちし、穿き込んだデニムのような風合いが出てきました。
メッセンジャーバッグ。8年使用。洗いあり。肩掛けした時にも体にしっかりと馴染む、柔らかい生地に変化。新品(右)とカラーリングは異なります。生地感の参考例として。
バゲットトート・L。2年使用。洗いなし。ようやく硬さが取れコシだけが残り、絶妙に使いやすい風合いに。
ハーベストトート・L。5年程使用。洗いあり。使い込み、何度も洗ったパターン。味わいはあっても型崩れはさほどありません。
バゲットトート・タンニン。6年程使用。時間の経過とともに段々と飴色へと変化しました。

Text : Chieko Koga(MOKA STORE)